おいしい金柑づくり

完熟きんかんとは

宮崎県はきんかんの生産量が全国の60%以上と日本一の産地です。この地で量のみならず、質も日本一を目指そうと、数十年前から県や生産者が一体となり完熟きんかんづくりが進められてきました。
きんかんは、毎年6月下旬に花が咲き、花がついた部分が実となります。完熟きんかんは、開花から210日以上を樹上で育てたもので、糖度16度以上、サイズがL(直径2.8センチ)以上のものをいいます。木の上で長期間熟成させることで、きんかん特有の刺激成分が消え、甘味のもとがたくさん作られ、ふつうの金柑にない大きさ・甘味をもった一品となります。
完熟きんかんと同じく、宮崎の特産品として有名な完熟マンゴーは糖度16度以上、また柑橘類の代表格・温州みかんは糖度が高いもので12~13度です。柑橘類としては最も糖度が高い完熟きんかんを、ぜひ皮のまま、丸ごと召し上がりください。

内山金柑園では「たまたま」を生産しています。
JA宮崎経済連では、宮崎県で生産される完熟きんかんのうち、糖度16度・Lサイズ以上のものを「たまたま」、糖度18度・2L(直径3.2センチ)以上のものを「たまたまエクセレント」として認定・販売しています。当園で生産された完熟きんかんはJAにも出荷しており、この場合は「たまたま」、「たまたまエクセレント」として取り扱われます。JAを経由せず、自園で販売する際は「宮崎県産完熟きんかん」と表記しています。

剪定(3月下旬~4月上旬)…1月から2月にかけて収穫したきんかんの枝にはさみを入れ、内部の日当たりをよくし、新芽が出るスペースを確保します。剪定は木の形を整え、病害虫の発生を防止するためにも重要な作業です。

開花(6月下旬~7月)…7月になると、小さな白い花が咲きます。この花がついた部分に実がなります。きんかんの花は柑橘のよい香りがします。

摘果(9月~10月)…9月になると光や水、土の栄養を受けて、きんかんの実はどんどん大きくなります。この時期には少しでも実を大きくするため商品価値がないものや、小さすぎるものを取り除き、良い実だけを残す「摘果」の作業をします。

成熟期(10~12月)
暖かい時期に大きくなったきんかんは、寒い時期になると、果皮に甘みがのり、全体的に黄色から黄橙色に変わっていきます。この時期から水の量を減らし、さらに甘みをため込ませます。根が傷まない程度に水をやるのですが、水を多くやると糖度がのらない、少ないと根が傷んでしまうので、この見極めがとても重要になります。

収穫(2月~3月)
開花から7ヶ月あまり、210日を経過したきんかんは木の上で熟成され、食味・外観ともに優れた「完熟きんかん」となって皆様の元へ届けられます。この美味しさを味わえるのは、2ヶ月余り。短い期間に多くの方に味わっていただきたいと、スタッフ総動員で収穫・出荷作業に励みます。

自然のリズムに則った農業を

完熟きんかんは皮ごと食べるものなので、農薬はできるだけ使わずに作りたいと考えています。環境への負担も考え、有効な方法はないか試行錯誤するなかで、ある一つの方法に辿りつきました。それは「月の満ち欠け」を利用するやり方です。月の満ち欠けと、それに合わせて変化する海の潮の満ち引きは、おおよそ一ヶ月周期で刻まれています。大潮には満月のときと、新月のときの2回あります。満月の大潮も新月の大潮も、防除に適した時期は大潮の最後の日から3日間といわれています。

自然のリズムに合わせた農業を研究、実践しています。

この3日間は虫が卵から孵ったばかりの時期、農薬が最も効きやすい時期に当たるため、このタイミングで防除を施します。こうすることで無駄な農薬を使わずにすみます。
液肥などを葉に散布する場合も、大潮のときが最も液肥が浸透しやすいとされ、このタイミングで散布することで葉の生長が促されます。このように月のリズムと虫や作物のリズムをうまく合わせることで、環境にやさしく、効率的な農業ができると考えています。